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2026年4月最新|暗号資産と円の相対取引はどう変わる?金融庁・警察庁資料から読む規制強化のポイント

暗号資産と円の相対取引をめぐって、金融庁による本人確認ルールの厳格化と、無登録の相対業者への警戒が一段と明確になっている」

2026年4月時点で押さえておきたいのは、暗号資産と日本円の交換をめぐる規制が、単に「仮想通貨は自由に個人売買できる」という段階ではなく、マネーロンダリング対策と無登録営業対策を中心に、より厳格化の方向にあるという点です。

特に、金融庁は2026年3月31日、暗号資産交換業者の取引時確認が必要となる取引の敷居値を引き下げた規制について事後評価を公表しました。

金融庁の公表資料によると、改正前は、暗号資産交換業者が顧客と行う一部の取引について、200万円超で取引時確認が必要でしたが、これが10万円超へと引き下げられました。 (引用:https://jp.beincrypto.com/fsa-crypto-kyc-threshold-review/)

金融庁はこの見直しについて、FATF(金融活動作業部会)の国際基準に沿った対応であり、不正な目的による暗号資産取引の未然防止や、事後トレースの容易化に資すると評価しています。

ここで大事なのは、この話が単なる「交換所の手続きが面倒になった」というだけではないことです。暗号資産は国境を越えて移転しやすく、匿名性や迅速性が悪用されやすいため、当局は現金化の入口・出口をより細かく確認する方向に制度を寄せています。

金融庁の資料でも、暗号資産は容易に越境移転可能であり、マネーロンダリングに悪用されるリスクがあることが、敷居値引下げの理由として明記されています。


「相対業者」「相対屋」はなぜ問題視されるのか

みなさんが言う「相対」は、実務上は交換所を通さず、個人または業者が暗号資産と円を直接売買する相対取引を指しているはずです。

この点について、警察庁は2026年公表の資料で、暗号資産交換業者を介さずに個人間で不正に暗号資産取引を行う者を、いわゆる『相対屋』として明示しています。しかも警察庁は、こうした相対屋が、匿名・流動型犯罪グループなどにより犯行ツールとして悪用されている実態があるとしています。

さらに警察庁の「犯罪収益移転危険度調査書」でも、相対屋を通じた暗号資産の現金化が図表付きで紹介されており、犯罪収益の現金化ルートとして警戒されていることが読み取れます。

つまり、2026年4月時点で「相対取引」が注目される理由は、投資の利便性というより、AML/CFT(マネロン・テロ資金供与対策)の観点で監視対象になっているからです。


無登録でやると何が問題になるのか

日本では、暗号資産の売買や交換、その媒介などを業として行う場合、原則として資金決済法上の登録が必要です。

金融庁は、無登録で暗号資産交換業を行う者について、資金決済法第63条の2に違反するとして警告・公表を行っています。実際、金融庁の「無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について」では、掲載されている業者は警告時点で無登録営業が確認できた者であり、掲載されていない者でも無登録交換業に該当する行為をしている可能性があると注意喚起しています。

【重要】相対取引をしている本人が「個人売買だから大丈夫」「紹介だけだから問題ない」と思っていても、実態としては売買の勧誘、条件交渉、契約成立に向けた誘引まで行っていれば、監督上は「媒介」と判断されうるからです。

金融庁の2026年1月の事務ガイドライン案では、暗号資産の売買等を内容とする契約について、勧誘、勧誘目的の商品説明、条件交渉などを第三者のために行う場合は、原則として「暗号資産の売買等の媒介」に当たると整理されています。

しかも金融庁は、所属暗号資産交換業者の委託を受けずに、暗号資産の売買又は交換の媒介を業として行う場合には、暗号資産交換業の登録が必要であることも明記しています。

つまり、単なる紹介のつもりでも、実態が一歩踏み込んでいれば、登録が必要な業務に入る可能性があります。


2025年改正で新しくできた「暗号資産サービス仲介業」との違い

【誤解しやすいところ】2025年改正資金決済法では、暗号資産交換業者や電子決済手段等取引業者と利用者を引き合わせる「仲介業」が新設されました。金融庁の説明資料では、これは売買・交換の“媒介のみ”を行う登録制の業態であり、利用者への説明義務や広告規制はある一方、利用者財産を預からないため財務規制は設けない、またAML規制(マネー・ローンダリング防止)は交換業者側に課されるため仲介業者には課さないと説明されています。

ただし、ここを都合よく解釈してはいけません。新制度は、所属する登録済み交換業者の委託を受けて、そのために媒介する業者を想定したものです。

勝手に自分で顧客を集め、独自の条件で円と暗号資産を相対でさばく人まで無条件に合法化したものではありません。

金融庁のガイドラインでも、委託を受けずに媒介を業として行うなら登録が必要と明記されており、無登録相対業者の免罪符にはなりません。


相対業者に対する注意点

相対業者、または相対取引に近い形で活動している人が特に注意すべきなのは、次の点です。

まず第一に、「自分は交換所ではないから規制対象外」と思い込まないことです。実態として反復継続して暗号資産と円の交換に関与し、勧誘・条件調整・契約成立に向けた行為までしていれば、交換業や媒介に該当する可能性があります。金融庁は形式ではなく、契約成立に向けた一連の行為を総合判断すると示しています。

第二に、本人確認と記録管理を軽視しないことです。今回の10万円基準への引下げは、「少額だから大丈夫」という発想を崩す方向の制度変更です。暗号資産交換業者では、10万円超の一見取引でも確認が必要な方向が明確化されており、今後も当局の視線は“少額・分散・連続”の取引に向かいやすいとみるべきです。

第三に、現金取引や対面取引は特に慎重に扱うことです。警察庁資料では、相対屋を通じた現金化が犯罪収益移転の文脈で問題視されています。現金授受を伴う相対取引は、本人確認、資金源、反社チェック、取引目的確認などが曖昧になりやすく、後から最も説明が難しい形態です。

第四に、SNS集客は“紹介”と“勧誘”の線引きが曖昧になりやすいことです。金融庁は、単なるリンク掲載や資料転載の範囲なら媒介に至らない場合もある一方、独自の見解を加えて推奨したり、契約成立へ誘導したりすると、媒介に当たる可能性があるとしています。SNSで「この案件おすすめです」「このレートでやれます」「私が間に入ります」とやると、一気にリスクが上がります。

第五に、利用者保護と価格の透明性です。登録業者経由の取引と違い、相対取引ではレート、手数料、受渡しタイミング、送金ミス時の対応、詐欺時の救済が曖昧になりがちです。法的な問題だけでなく、消費者保護の観点でも、相対取引はトラブルが起きやすい構造です。これは制度資料全体が、利用者保護と市場の公正確保を強める方向を示していることとも一致します。

まとめ

2026年4月、暗号資産市場において重要な変化が起きています。それは「新しい法律ができた」というよりも、既存ルールがより厳格に運用される方向へ進んだという点です。特に注目すべきは、金融庁が公表した「取引時確認(KYC)の敷居値引下げ」です。

これにより、暗号資産と円の取引において、これまで以上に本人確認が求められる場面が増えています。

変更のポイント|200万円→10万円へ

これまで暗号資産交換業者では、一定額以上の取引に対して本人確認が義務付けられていました。その基準が200万円超から10万円超へと大幅に引き下げられました。

この変更は単なる数字の変更ではなく、明確な政策意図があります。金融庁はこの見直しについて、マネーロンダリングや不正送金への対策強化として位置付けています。


なぜここまで厳しくなったのか

背景にあるのは、国際的なルールです。特にFATF(金融活動作業部会)は、暗号資産が犯罪資金の移動手段として使われるリスクを強く指摘しています。

暗号資産は
・国境を越えて即時送金できる
・匿名性が高い
・銀行を通さない

という特徴があり、従来の金融監視では捕捉しにくい側面があります。

そのため日本も国際基準に合わせ、入口(円→暗号資産)と出口(暗号資産→円)を厳格化する方向へ舵を切っています。


実務への影響

今回の改正によって、実務では以下の変化が起きています。

まず、少額取引でも本人確認が必要になるケースが増えました。これまで「10万円程度なら気軽に」という感覚だったユーザーも、確認手続きが必要になります。

また、分割取引(いわゆるスプリット)への監視も強まります。複数回に分けて10万円未満に抑える行為は、実質的に一体取引と判断される可能性があります。


相対取引への影響

このルールは、交換業者だけでなく、いわゆる「相対取引」にも影響を与えます。

なぜなら、制度の本質は
👉「少額だから安全」という考えを否定することにあるからです。

つまり今後は
・個人間取引
・紹介による売買
・現金手渡し

なども、より厳しく見られる可能性があります。


👉 暗号資産は「少額でも監視対象になる時代」に入った

これは単なる手続き強化ではなく、市場全体を健全化するための大きな流れです。

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